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2012年4月 9日 (月)

コールセンター 入社から退職まで(3)学びとキャリア、エンプロイアビリティ

コールセンターは労働集約産業(IT産業なんてレベルの高いものではありません)ですから、人材マネジメントの視点は大変に重要です。
チームワークだけでない、広い世界を見る機会があり、必要がありました。
また、自らもその歯車のひとつである認識に気付き、他者への危機感がそのまま自分に跳ね返ってきました。

■ 雇用問題の意識

会社の大多数を占めるオペレーターの存在、もまたビジネスにおける「人材」や「ヒト」のキーワードに着目したキッカケとなりました。

僕のチーム、同僚のチームには数多くのフリーターが在籍しています。
オフィスの所在地の関係で主婦や学生が少なくありませんが、フリーターも多く在籍していました。フリーターの中には30歳代や40歳代の姿もチラホラ。

学生スタッフは、入社直後こそおぼつきませんが、やがて必要な知識やテクニックを習得して立派に仕事をしてくれます。一方で、その力量はフリーターと変わらなかったりする。あるいはフリーターを上回るパフォーマンスを見せる学生がいる。

もちろん力量を高めんとあれこれ働きかけてみたりします
でも、それに応じずに(よくいえば)マイペースに仕事をし続けるフリーターがいる。仲のいいスタッフと楽しそうに会話をしていたりする。

学生スタッフは卒業にともない退職していきます。
「コールセンターでの電話応対は、就職後にアドバンテージを取れるよ。電話応対だけではなく、言葉遣いや多様なお客との会話のテクニックは、なかなか経験できるものではないから」と彼ら/彼女らを送り出します。
しかしフリーターはそんな退職の機会はありません。フリーターは、いつまでたってもオペレーターのまま。

これ、どうなんだろうな?という思いがありました。
キャリアにおいて「エンプロイアビリティ」という言葉があります。
「雇用されるに値するスキル」という概念です。彼らはこうして勤務しているのですから、「エンプロイアビリティ」があるといえます。しかし、彼らが年齢を重ねるに連れるならば、同じエンプロイアビリティをもつより若いスタッフが雇用される可能性が高いことは明白です。

そもそも、彼らがフリーターとなる要因とはなんなんだろう?そしてフリーターを継続できる要因とは??
そんなきっかけで、雇用問題に関する書物をあたるようになりました。
そこで得た知見は割愛するけれども、それは「自己責任だ」とだけで切り捨てることのできない世界があることを知りました。

いまさらその世界をアレコレいっても仕方がない、せめて僕にできることは彼らを「エンプロイアビリティの高い存在」になってもらうことだろうと考えるようになりました。

■ 人材育成、学びのシステム

となると、必要なのは「教育」です。
あれこれと書店を巡っているなか、ある書籍と出会い当時の僕に衝撃を与えます。

それは『企業内人材育成入門』でした。

もはや、人材育成は「理論的な裏づけなしに、誰もが語れるもの」ではない。

この本はただの教授法について書かれた本ではなくその前後のプロセス・・・いかに学びに誘うか、学びを実務においていかに実現するか・・・についても触れています。

広く学びに関するフレームワークを紹介するこの本は当時の僕の知識、あるいは職場環境では相当にレベルの高いことが書かれていたのですが、それでもその奥深さ、価値を知るには充分な機会でした。
職場において「マネジメント」スキルを幅広く習得する必要があり、また「いかに人を巻き込んで動くか」を目標とするのだとしても、背骨を形作る概念や武器は「学び」にしようと決意させた本でした。

なお、教育関連を生業とされる様々な人達と話をすると、この書籍がターニングポイントになったという例に多く出会います。

■ キャリアへの関心

企業内人材育成入門』著書の中原準教授とのつながりから、神戸大学金井壽宏教授の著作に触れることとなります。

金井教授はキャリア論、リーダー論の第一人者。
金井教授の『働くひとのためのキャリア・デザイン』における「キャリア・ドリフト」』の概念はいうまでもなく、またその他の著者によるキャリアに関する書籍で語られる就職をゴールとしないキャリアの構築の知見はまさに世界が広がる感覚を与えてくれました。
それまでの僕個人の経験を理解させ、また職場の部下や同僚への関わりを整理させてくれる出会いでした。

■ 人材市場の意識

一方で、それまでの狭い井戸(社内)から世界(社外)へ視野が広がるにつれ、僕は不安になりました。
高みに立って「フリーターのエンプロイアビリティが」とか「SVの仕事に甘んじる同僚が」といっている僕自身が、実は危険にさらされているのではないかと。

社内において同僚では出来なかったことを多くやってきた自負があるし、当時所属していたチームで既存SVが全滅しながら生き永らえその日まで組織を継続させてきた。
でも、その「出来なかったこと」は競合他社の人材にとっては楽勝なんじゃないか?、「継続させてきた」は、競合他社の人材にとってはもっと価値のある組織にまで仕立てられるのではないか?
一言でいって、「そもそもオマエのエンプロイアビリティはどうなんだ!?」という声でした。

その声が気になりだしたのは、入社から数年が経過し2010年になっていました。
もっと早く意識してよかった声だと、今では思います。しかし、その声に気づいてから様々な行動を加速させていきました。

■ エンプロイアビリティを高めたい試行錯誤

といっても、追求すべきビジョンはやはり同じでした。

「いかに人を巻き込んで動くか」を目指し、その先の「マネジメント」スキルを獲得する。
それがエンプロイアビリティを獲得したといえる姿であると信じていました。
あるいは「学び」を専門色をもって試行錯誤したいという思いもありましたが、現実的にいってまずは自分の所属するチームにおける成果であり、エンプロイアビリティを確立する必要もありました。

しかしその挑戦は、非常に難航しました。
その理由は非常に多岐にわたります。部内に起因すること、部外に起因すること、政治的なこと、クライアントの存在・・・。もちろん僕に起因することもありました。

なかでも最後まで足を引っ張ったのは、人材が定着しなかったことだろうと思います。
SVもオペレーターも退職が相次ぎ、その都度現場の経験値が減少していきます。
古株の僕しか持たない知識が増えていきます。その全てを形式知化できればいいのでしょうけれど、そうもいきません。「いかに人を巻き込んで動くか」を目指しながらも、皮肉なことに「個人スキル獲得の追及」がその存在感を増し、それが僕が本来行うべきマネジメントの障害となりました。
(「なぜ人材が定着しないのか」という原因もまた多岐にわたりますが)

しかしその状態に自虐的に満足していてはそれまでと変わりません。タチの悪いことに、そんな「個人スキル獲得の追及」の末行っているアクションは、時間を取られこそすれエンプロイアビリティがあるとはいえなかったのです。

それでも、どうにかして道を切り開いてやるという思いで進みました。

■ 社外での活動

社内での実践に四苦八苦する一方で、社外との接触が不可欠だという思いがありました。

2011年には社内の外部教育機関派遣制度に立候補し、グロービス・マネジメント・スクールの3ヶ月コース(リーダーシップと人材マネジメント基礎)に通いました。
本当はこの機会では「学び」に的を絞りたかったのですが、社長のアドバイスでグロービスとなりました。社長も言葉にこそしませんでしたが、エンプロイアビリティの点から学びを一手段とする学びの機会の場を示してくれたのでした。

また、社外の勉強会に積極的に顔を出すようにしました。
なかなか職場で実践に結びつけることの出来ない「学び」についてそれでも知見を広げたいために、特にそういった業界の方と知り合う機会を求めました。

あるいは当時感銘を受けたNPO系イベントをキッカケに、自らの考えをまとめるチャレンジも。
学びとコミュニティを軸としたモデルを作って、とある支援系NPOに相談をアポしましたが・・・仕事の都合でドタキャンせざるを得ず、それもまたジャブとなって僕のモチベーションを下げるのでした。
しかしお蔵入りさせるにはあまりに不本意、せめてヨメのツテで就職活動中の大学生向けに「勉強会」を設けました。

しかし、実践の舞台となる職場ではなかなか胸を晴れる成果には結びつきませんでした。
もちろん小さな成功体験も少なくなかったのだけれど「いかに人を巻き込んで動くか」の先に果たしたものは、やはり微々たるものだったのです。

そのジレンマの影響は、退職する人々の理由・・・体調不良につながったのでしょう。
もちろん、それは僕への影響も及ぼすものでした。

(つづく)


【関連サイト】
グロービス・マネジメント・スクール

学びとコミュニティの企画『mosaic』
mosaic:"Developing Social Network" featuring Learning designed into practice.
mosaic:「実践を視野に入れをデザイン」による学びをノードとしたソーシャルネットワークの構築
mosaic:「実践例 NPO事例紹介」
mosaic02:「キャリアの軸と、キャリア展望の視点」を開催しました

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  • こんにちは。

    僕はコールセンターでオペレーション部門のマネジャーだった元サラリーマンです。2013年より上海で中医学を学んでいます。
    →2019年の医師試験に奇跡的に合格、晴れて中医師に!
    →就職活動を始めるも、中国ビザ規定では「経験2年以上でないとダメ」、新卒じゃダメじゃん
    →ある外資系クリニックに事務系何でも屋として拾ってもらう(いまココ)

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