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2012年2月29日 (水)

ゆううつな歯痛 02ネットでの情報収集、複数人格の診察

(『これまでの診療』はこちら)

長くつきまとってきた歯痛に変化が生じました。
もしかすると原因特定に成功し、完治いたるかもしれません。

その過程でネット利用における感心と、医療における複数人格の必要性について思うところがありました。

いまさら言うまでもありませんが、ネットには豊富な情報があり、知識があること。
しかしそれは適切な姿勢で臨まなければいけないこと。
また、医療行為とは結局ヒトの行為であり、複数人格をもって対応することが理想であるということ、しかしそれは簡単なことではないということです。


■ ネット上の情報は豊富だけれど、鵜呑みにしない

歯痛が激しくなった際にかかりつけの歯科医の診察を受けられなかったことから、ワラにもすがる思いでネットを大活用しました。

「歯痛」、「原因」、「応急処置」からキーワード検索し、ザッと全容を把握する。
さらに各ページの情報から自分にあった事例を見つけ出し、必要に応じてさらに新たなキーワードで絞込みを行っていく・・・(そのノウハウを書くことは大変なので割愛)。
かなりの短時間で、歯科という領域について、またそのメカニズムをつかむことができました。

感心したのは、歯科医の署名つきで質問に答えるサイトがあることでした(『歯科相談掲示板』)。患者が体験談を(専門知識なく)語って群れているサイトよりも、情報の正確性が増します。
一方で、そこに記載される情報を鵜呑みにすることは危険だという思いをもちながら閲覧しました。
なぜなら、その情報収集の過程は双方向性がないため・・・いいかえれば、医師との対話によって得られるものではないからでした。一方的に情報を読み込むことは、誤解を誤解と気づかずに進めてしまう可能性を否定できません。

とくにこのような医療分野においては、あくまでネットに記載されていることは参考情報とすべきで、必ず医師との対話(診断を一方的にうけるのではない)を経るべきだと思いました。

それでも、ネットの価値はすばらしいなぁ、と再認識する経験でした。
正しい姿勢で臨む限り、本当に有益であると感じました。

原因不明な痛みを抱えることは本当に心細いです。
同じような情報獲得は、あるいはネットがなくとも可能かもしれません。しかしそのためには図書館や書店で文献をあたらなければいけないかもしれず、その際にネットほどの検索効率は望めないはずです。ましてそれが深夜だったら??
(ネットに接続可能である、といえど)時と場所を選ばずに情報を収集できる、ネットってすばらしい。

■ 行為を複数の視点(人格)で行う

今回かかりつけの歯科医だけでなく大学病院の診察を求めたことで、「痛みの元となる炎症の原因は不明」から、「歯周病による炎症と思われる」へ前進?しました。
(まだ治療段階ですから正解にたどり着いたと思うのは時期尚早)

セカンドオピニオンと大げさな言葉を持ち出さずとも、複数の視点(人格)から判断を下すことの重要性をあらためても思いました。
僕のケースはそれなりに微妙だったらしく、場合によってはかかりつけの歯科医であっても診断可能であったかもしれません。かかりつけの歯科医がヤブだという気もありません。

理想をいえば、「原因がわからない」でなくとも診察ケースのたびに複数の視点をもって対応してほしい。
大げさなことをせずとも、たとえば近くで作業している同僚に聞くのでもいい。それが事例共有の場となって、学習効果も望めます。

でも、それってやっぱり「理想」かなぁと思いが巡ります。

経営資源、効率性の問題があります。
野暮ったくいえば「診察時間は少ないだけ儲かる」「人手は少ないほうがいい」という視点。
まずは経営上の文化、治療ポリシーの柱が「複数視点をもつ」という前提をもたない限り、医師個人の判断で行動を変えることは難しそうな気もします。
あるいは・・・医師個人が「同僚に聞くなどプライドが許さない」と思っているかもしれません。

そういえば、一般の開業医はお互いの診察内容を他の視点で振り返る機会ってあるんだろうか?「共有」だけでなく「校正」の視点をもって?
医師の業務成績はなにをKPIにしているんだろう?という疑問も導かれます(まさか単純に診察回数じゃないよなぁ)。

■ 将来の僕のビジョンへのヒント

この問題は歯科だけに限りません。
医学全体に及ぶことであり、さらには医療行為外のあらゆる事情で求められることです。
(数値によって間違いなく原因を特定できるモノ以外は)

僕が将来中医大学を卒業し、修行期間を経て独立した際、この問題をどのように解消すればいいのだろう?と考えます。
人格を複数持つ・・・つまり協業パートナーを内外にもつことが浮かびます。

この問題については、一般には「治療後の経過観察をみる」によってリスクヘッジされているようですね。しかし、患者が物言わずに通院をストップすれば、その後の真相は闇の中・・・。その場合、医師へのフィードバックが機会消失します(それでも患者が後に正しい原因特定にいたり、治療されればいいけれど)。

たとえば、常に知識や情報をブラッシュアップし続け、時には同業者と事例共有会を行いキャリブレーションを怠らないことが求められるのでしょう。

僕はこの歳で医学を学び始めますので、臨床医しての経験にハンデがあることを理解しています。
それでも社会に貢献するためには、孤軍奮闘して臨床医として行動するよりも、上記のような共有の場形成を通じた診断の質向上、医師の適切な医療行為をマネジメントするほうに志向をもつことを手段としたほうが過去の経験も生かせて良いんだろうなぁと思うのでした。

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    僕はコールセンターでオペレーション部門のマネジャーだった元サラリーマンです。2013年より上海で中医学を学んでいます。
    →2019年の医師試験に奇跡的に合格、晴れて中医師に!
    →就職活動を始めるも、中国ビザ規定では「経験2年以上でないとダメ」、新卒じゃダメじゃん
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